AIによる画像認識と画像処理を用いたコンタクトレンズのリコメンドシステム『FiguMe』

株式会社ANW様

株式会社ANWはコンタクトレンズの製造・販売を行っています。瞳に光を入れて自然な輝きをつくるキャッチライトレンズ®「OvE」が2019年度のグッドデザイン賞を受賞するなど、優れたデザインと品質の製品を世の中に送り出しています。

株式会社ANW
河鍋 様

AI受託開発
お客様 × データサイエンティストインタビュー

今回は2021年7月にリリースいたしました、ユーザーの目元にパーソナライズされたカラーコンタクトレンズをレコメンドする、目元画像解析AIシステム『FiguMe(フィグミー)』について、株式会社ANWの河鍋様と、ROXの中川・田中にお話しを伺いました。

ユーザーに最適なカラーコンタクトレンズをレコメンドするAIシステム『FiguMe(フィグミー)

   

「種類が多すぎて選べない・・」というお客様のお悩みを解決するために

―――『FiguMe』開発に至る経緯をお聞かせ頂けますか?

ANW:河鍋様
「当社はコンタクトレンズの製造・販売を行う老舗の会社になります。また、会社の立ち上げ前からコンタクトに携わっているメンバーも多く、長くコンタクトレンズに関わる中で様々な開発上の悩みを持っていました。」

「一方で、コンタクトレンズ市場の中でもとりわけカラーコンタクトレンズ(以下カラコン)においては新たなブランドや新色がどんどん登場し、競争が激しくなっているのが現状です。」

「選択肢が増えることでお客様にとっては種類が多すぎて『結局自分に何が似合うのか?』がわかりにくいというお悩みがあります。ご自身の【瞳の色】や【瞳の大きさ】【目の形】などを考慮して「これが一番お似合いですよ」というのをレコメンドできると、お客様も悩まずに済む、そういった悩みが解消できるのではないか?と思い『FiguMe』を開発しました。」

「コスメがパーソナライズされていく中で、コンタクトはまだ追いついていない部分があると思っています。だからこそ、今回ROXと共に取り組む必要があったと考えています。」

瞳の中でキラキラと輝く光を表現し、透明感と潤いに溢れた瞳を実現『キャッチライトレンズ OvE

グループ会社だからこそ誕生した『FiguMe』

互いにBSMOグループの一員である株式会社ANWとROX。【コンタクトレンズの製造・販売】×【AIの開発】全く異なる業種の2社が組み合わさることで『FiguMe』が実現しました。

―――開発に取り組む中で感じたことや、お互いの会社やメンバーへの印象があればお聞かせください。

ANW:河鍋様
「 BSMOとROXの出会いがます大きかったのではないか?と思っています。そのおかげで私もこのプロジェクトに関わることができました。」

「ROXの皆さんとは、最初の大きな目標をしっかり共有でき、開発中も細かく密にコミュニケーションをとって頂きましたので『そういえば全く不安なくリリースまでこぎつけることができたな』と思っています。特に田中さんには大変お世話になりました。」

ROX:田中
「僕も今のお話を伺って『そういえば、僕も全く不安がなかったな。』と思いました。それぐらい密にコミュニケーションがとれていたと思いますし、不明点があれば気軽に河鍋さんとやり取りすることができました。また、今回のプロジェクトはスピード開発だったのですが、密にコミュニケーションがとれたことで、スムーズに開発が出来たと思います。」

ANW:河鍋様
「田中さんとはオンライン上でのやり取りだけでしたが、そういったことを感じさせないくらいで『オフィスで会ったことがあったかな?』という感じです(笑)」

ROX:中川
「河鍋さんがお話し下さったとおり、今回の取り組みを通して、グループ内同じファミリーだなという感触を持ちました。打ち合わせやアプリの仕様の取り決め一つをとっても、通常よりフランクなコミュニケーションで進められましたし、仕事がとてもやりやすかったという印象です。河鍋さんはじめANWの皆さんのご理解あってのことだと思います。」

「もう一つ印象としては、ANWのみなさんは『プロ』だなと感じました。プロの方がこれまでの経験に基づくロジックをお持ちで、数式化はされていなかったが、例えば『こういう目の形の方にはこういったカラコンが似合う』というロジックが明確でした。ROXではそれをプログラミングに置き換えたまでです。プロの方が持ってらっしゃるノウハウは尊いもので、それを持ってらっしゃるプロフェッショナルの方と仕事をさせて頂いたことは大変有難かったですし、勉強になりました。」

右下:ANW 河鍋様 左上:ROX 中川 左下:ROX 田中

―――なぜROXに『FiguMe』の開発を依頼して下さいましたか?

ANW:河鍋様
「メーカーだからこそともいえるのですが、お客様の元に商品をどうお届けするか?については様々な悩みがつきもので、解決方法がなかなか見い出せない部分がありました。(ROXと)グループ会社となったことで、今までの悩みを解決すべくこんなものができたら、面白いのではないか?という新しい扉が開けました。」

―――ROXのプロジェクトの進め方は、いかがでしたか?

ANW:河鍋様
スムーズにプロジェクトが進みました。AI開発の会社とは関わったことがないのですが、様々なお取引先の中で、外注への依頼となるとある程度の線引きがあり、やはりどうしても壁があるのですが、今回のプロジェクトに関しては『なんで不安がなかったのかな?』というところを掘り下げて考えていくと、本質的なところを理解しようとするコミュニケーションを務めてくれていたからかな?と思います。とても嬉しかったです。」

ROX:中川
「有難うございます。私たちとしても『FiguMe』をリリースして終わりではなく、今後もANWの皆さんと共に、技術的な観点から深堀りしたり、横展開、拡販していったりとより主体的に積極的に『FiguMe』に携わらせていただきたいなと思っています。今後ともよろしくお願い致します。」

河鍋様
「それこそがグループでないとできないことだと思います!他社にはできないこと、ワクワクするお話です。」

―――成果物にはご満足いただけましたか?

ANW:河鍋様
「満足しかありません。」

ROX:田中
「有難うございます!!」

実際のアプリでの診断の流れを動画でご覧下さい

長年の経験からプロがおすすめする「これがお似合いですよ」をプログラムに落とし込む

―――『FiguMe』はどのような技術を用いて作られているのでしょうか?

ROX:田中
「今回使用した技術は大きく二つあります。一つは画像から顔に関する様々な特徴を取得する最新のAIによる【顔認識】で、もう一つは【画像処理】という技術です。特定した顔情報から、目の情報、特に目と言っても【黒目】【白目】さらに目の中の【虹彩】とその中でも複数のパーツに分かれます。 それらの情報をもとにおすすめのカラーコンタクトをレコメンドするわけですが、ここには画像処理の技術を用いています。

「レコメンドの指標には、河鍋さんを始めとしたANWの方々の経験則に裏打ちされた指標が用いられています。数字と画像を見比べて頂き、何が正解か?何度も試して人が判断していることを数字に置き換えていくという作業を行いました。何が似合うか、という感覚的なものは私自身は持ち合わせておらず、河鍋さんからヒアリングしていく上で形に近づけていけたと思います。自分にはない感覚を形にするのは大変でもあり、楽しくもありました。」

「また、そういったロジックを組み込み、データを処理するバックエンド側だけでなく、『FiguMe』ユーザーの方々が実際に触る部分、アプリを介してデータをやりとりするフロントエンドの実装も行いました。」

ROX:中川
「強いて言うならば、河鍋さんの脳みそをプログラムで実現したようなものです。」

―――FiguMeアプリの設計や動作に関して工夫したことはありますか?

ANW:河鍋様
「そもそも世の中にないものを作っているので、できるだけシンプルになるように心掛け、診断結果までのステップ数を少なくしました。また、診断結果が表示される部分では瞳の形を表示できるようにすることで『確かに診断しているよ!』ということを表現しました。こういったことが、診断結果の信頼性に繋がるのではないかと考えています。」

――FiguMeの開発で難しかったことはありますか?

ROX:田中
「目という情報から、さらに【白目】【黒目】【虹彩】と分けるのが大変でした。。僕も今回の開発を通して知ったのですが、実は黒目は綺麗な【丸】ではなく【楕円】に近い形状をしています。かつ、黒目は上下が瞼(まぶた)で隠れた状態です。見えている部分はかなり限られた形をしているため、さらにまた別のアルゴリズムを使って画像処理を行いました。」

顔全体の写真から画像処理技術で目だけを抽出し、更に細かく分類、
見えない部分の形状までをトレースすることを実現!診断結果の信頼性をわかりやすく表現

『FiguMe』をきっかけに新たなサービスや商品を展開!

―――実際に『FiguMe』を使って下さったお客様から頂いた声などはありますか?

ANW:河鍋様
「『FiguMe』の診断目標数は、ECのお客様やSNS上で繋がって下さっているお客様の人数から、様々な広告プロモーションをかけたうえで2万診断を目標としていたのですが、リリースから1週間で5千回も診断をしていただきました。現在も1日あたりの平均診断数が100回を超え、リリースから約40日で累計1万2000診断を突破する勢いです。」

「まだ広告プロモーションも大きくかけていない状態ですが、既にTwitterで検索をすると自然発生的に(診断結果を)投稿をして下さっている方もいらっしゃいます。また、診断をきっかけに商品を購入にしたというお客様の投稿も見受けられます。」

―――最後に『FiguMe』や『ANWとROXの取り組み』について今後の展望をお聞かせ下さい。

ANW:河鍋様
「今回『FiguMe』で取得したビッグデータを活用して、今後新しいサービスや新しい商品を生み出し、よりお客様に喜んでいただけるものを開発していきたいと思っています。」

ROX:田中
「今回の開発で、目についてかなり詳細な情報を取得することができました。(レコメンドする対象を)カラコン以外にもアイメイクに発展させたりするのも面白そうですし、パーソナルカラー(生まれもった肌や目、髪などの色から似合う色を導き出す理論)から似合う商品を提案するといったことへの開発にも個人的に興味があります。カラコン×AIという組み合わせはまだまだ世の中に出回っていないので、現在私たちは先駆的なポジションにいると思います。この優位性を活かしつつ、更に価値を高めていく開発ができたらと考えています。

ROX:中川
「私達が登ろうとしている大きな山は、美容業界のパーソナライズデータをDX化することです。その入口が今回の『FiguMe』という認識です。この分野のパーソナライズデータにこれからどんどん切り込んでいきたいなと思っています。まずは『FiguMe』から目元のデータを、次は顔全体なのか?目元から更に多くのデータを取得分析するのか?まだまだ大きな山の一合目にたどり着いたばかりのイメージです。」

*インタビュー内容は2021年9月の取材に基づいています。記事内容およびサービスは取材当時のものです。
聞き手・編集:ROX飯塚