「AIで物流予測し効率化」
路線集配の業務平準化・時短を実現

株式会社 東運輸 様

2019年7月26日発行 「物流ニッポン」より

左:飯田社長

需要予測AI導入の背景と効果

以下記事より抜粋>>

東運輸(飯田武徳社長、千葉県野田市)では、路線集配業務におけるAI(人工知能)での物量予測に取り組み、ドライバーの業務効率化を図っている。物量予測に向けてデータ分析を手掛けるROX(中川達生CEO=最高経営責任者、川崎市中原区)と業務提携し、ドライバーの労働時間短縮や作業平準化を実現。今後はパレット数の統計といったデータの収集により、新たな物量予測の展開をにらむ。

これまでの路線集配業務における物量予測は、ドライバーの肌感覚に頼る部分が大きかった。また、深刻化する人手不足をはじめ、働き方改革関連法など事業に関わる法律が相次いで改正され、難しい経営環境に置かれていた。こうした中、作業平準化、業務効率化に向けた取り組みを推進し、法令順守を徹底していくことが必須となっていた。

飯田社長は「職人のようなスキルの求められる業務を数値化して可視化することが必要」との固い決意を持って、AIによる物量予測に着手。正確性の高い予測を実現するため、ROXとの業務提携に至った。

2018年10月から本格的に運用をスタート。物量予測では、路線集配業務について、荷物のデータを多く取得しやすい顧客との直接契約における荷物を対象に展開。東運輸の岩槻出張所(さいたま市岩槻区)の発送に係る物量予測を行った。ROXはこれまでの飲食業などで培った実績を生かしながら、東運輸から提出された荷物の個数や件数、重量といったデータをはじめ、天候などの関連データを活用して分析。

ROXの中川CEOが「物流業務の分析は相性が良かったと思う」と語るように、9割ほどの的中率で予測が可能となった。

これにより、ドライバーの労働時間の短縮と待遇面での改善を実現。更に、ドライバーの感覚に頼っていた物量予測業務について作業の平準化を図ることができた。

飯田氏は「現場は協力的。現場自体が困っていたことで、皆改善したい思いはあった」と強調。一方、「大口になればなるほど予測の誤差は大きくなるため改善が必要」と話す。

現在、東運輸では独自でパレット数の統計を取るなど新たなデータ収集を実施。後に、ROXにデータを提出し、分析してもらう方針だ。深掘りした物量予測を行って成功事例とすることで、今後の新たな物量予測の展開につなげていく。