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製造業の生産性向上に向けたデータ活用

リカザイ株式会社

金属箔の加工、精密金属二次加工品の製造・販売を主に行っています。国内外から高品質の材料を調達し、1ミリ~1ミクロの薄さの金属箔を製作。7割が研究開発向けで、電池やマイク、スピーカーなど様々な用途に用いられています。業界内でも「薄い箔はリカザイ」と言われ、欧米の研究部門からも製作依頼が来るほど高品質の製品を製造しています。

リカザイ株式会社
経営管理統括
取締役統括部長 有賀 様

セミナーレポート

川崎市生産性向上・働き方改革セミナー「事例で学ぶwithコロナ時代のAI・IoTの活用術」

2021年6月24日に川崎市主催で行われましたセミナー【川崎市生産性向上・働き方改革セミナー「事例で学ぶwithコロナ時代のAI・IoTの活用術」】にリカザイ株式会社の有賀様と、ROXのCOO三浦がパネラーとして登壇いたしました。

本記事は、そちらのセミナーの中から「川崎市の生産性向上・働き方改革」の普及促進につながるモデル事業の一環として、リカザイ株式会社様と共に取り組ませて頂きましたプロジェクト「製造業における生産性向上に向けた需要予測AIの活用 AIを活用したオンラインショップ」についてを中心にレポートとしてご紹介いたします。

リカザイ 有賀様:
「昨年コロナの第1波が過ぎた6月頃、”次の感染のピーク” や “次の感染爆発” といった言葉が聞かれるようになり、会社としてどのように対処したらよいか?自分たちの製造を如何に守るか?ということをコンセプトに様々なことに取り組んできました。」

「また、同時に川崎市等から補助金の話も公示されましたので、使えるものは積極的に使っていこう!と会社として取り組みました。」

  • 全社のzoom化 会議や朝礼は自席で行う
  • ホームページ刷新(営業対策)
  • オンラインショップ
  • 動画の作成とオンライン展示会
  • テレワーク導入
  • 社内インフラ整備(無線LAN・iPad・iPhoneを配布)
  • サーモカメラ設置・局所吸排気設備設置など

オンラインショップ開設の背景

―――――コロナ禍を乗り切るために様々なことを実行されたリカザイ様。今回当社がお手伝いをさせて頂いたのは、取り組みの一つとして新規開設したオンラインショップです。
オンラインショップ開設の背景についてお話して下さいました。

リカザイ株式会社『オンラインショップ

リカザイ 有賀様:
「当社の魅力は少量多品種でカスタム品をキチンと作れるというところで、それらのカスタム品が4割を占めます。一方で残りの6割を占める標準の仕様は、大手ネット販売を行う商社へ製品を供給してきました。また、在庫を減らすために大判箔・薄板を保管し受注仕様に応じて加工しています。」

「カスタム品は、その都度、受注・見積、在庫確認・加工・製造指示書の作成・2次加工メーカーへの依頼と様々な調整が発生し、納期が読みづらい部分があり、そこに多くの時間を割きたいので、標準的な仕様はカタログから選んでもらえるような仕組みが欲しい!といった声が営業サイドからありました。また、コロナ禍で対面営業が難しく、新規顧客開拓が難しいという問題もあったので、オンラインショップを開設することにしました。」

圧延加工により0.001mm[1ミクロン]もの薄さの金属箔を製作

過去10年分の受注ビッグデータの活用・AI活用

リカザイ 有賀様:
「オンラインショップを開設するにあたり、ROX社に過去の受注実績データを分析してもらい売れ筋商品を選別しました。そこからオンラインショップや在庫に不向きな製品(酸化する製品など)もありますので、そのあたりを更に選別して標準品として事前に製造し在庫しました。また、最適量を常に在庫化しておくことを目的にROXにAI受注予測を依頼しました。

「過去の受注実績データは2011年から2020年までの約10年分、エクセルデータで6万行以上にも及ぶ膨大なビッグデータを分析してもらいました。」

「オンラインショップを運営することで、営業・製造の大幅負担軽減と採算性の向上の効果が得られ、梱包後の商品を在庫化することにより”発送可能”までの作業時間が1/10以下に削減されます。また、AIで受注予測をすることにより適正な在庫管理をすることが可能です。」

「サイトを運営をする中で、オンラインショップが当社の製品カタログとして効果があることもわかってきました。オンラインショップ画面を見たお客様から、”この製品とこの製品の間の寸法が欲しい” などという追加加工を望むお客様の問合せが出始めました。」

「今後はROX社に更なる解析を依頼するとともに、オンラインショップの認知をより高めていくため、海外向けECモールへの出店や、大手ECに登録するなどの展開を考えています。」

ROXがお手伝いさせて頂いたこと

ROX 三浦:
「今回の川崎市モデル事業で、取り組ませて頂いた工程は大きく4つに分かれます。」

STEP1 ヒアリングとエンジニアリング
STEP2 データ分析
STEP3 AIアプリの活用
STEP4 課題の整理

STEP1 ヒアリングとエンジニアリング

  • リカザイ様のビジネス理解、何をどのように交通整理していくか?
  • 今回の川崎市モデル事業の実施内容把握
  • 何をどのように実現していくか?リカザイ様が求めるものに対してどのようなことが自社技術でできるのか?

STEP2 データ分析

「リカザイ様では約10年分、エクセルで6万行以上もの膨大な過去の取引実績ビッグデータをお持ちでした。」

  • 過去の取引データの整形・構造化処理
  • 過去の取引データの傾向把握、可視化、探索、簡易的な基礎分析を行い
  • 今回の取り組みで扱う「売れ筋」商品選定のためのランキング化し、標準品の設定を行いました。

ROX COO三浦

STEP3 AIアプリの活用

「ビッグデータの分析から導いた、オンラインショップで販売する標準品の在庫管理をするため、まずは弊社の標準プロダクト需要予測アプリAI-Hawk-をリカザイ様に設定いたしました。また、予測傾向の簡易分析や過去実績データの簡易分析などをリカザイ様と共に協議いたしました。」

STEP4 課題の整理

「分析の結果から申し上げますと、在庫管理のためのAI受注予測において、店舗向けのアルゴリズムを組み込んだAI-Hawk-では、実用的な予測結果は現状ではまだ得られおりません。そのため、リカザイ様のデータに合わせたカスタマイズが今後必要で、これを行えば実用的な需要予測結果が得られるかと思いますので、引き続き機能の開発を実施しています。」

「また、先ほど有賀様からお話がありましたように、オンラインショップを行う中で、追加のカスタマイズ加工など、お客様が求める今まで見えていなかったニーズが見えてきました。こういったところも我々の方でもう一度咀嚼させて頂いて、新たなニーズからどのようなデータの捉え方ができるのか?また別の観点からのアプローチも検討していきたいと思っています。」

ファシリテーター:
「受注予測AIにおいては、そもそも目的が違うシステム(小売店・店舗向け)を当てはめるところからスタートしているかと思いますが。そのあたり会社としての方針や、現場の方とのコミュニケーションで工夫されたことがありましたら教えてください。」

ROX 三浦:
「我々のビジネスで大切にしているところとして”手軽にやれる” ”まずはAIを使ってみよう” ということを大事にしています。まずはあれこれ悩まずに標準でご提供している(需要予測AI)アプリから初めてみることで、課題も見えてきますのでまずはそこから着手させて頂きました。」

リカザイ 有賀様:
「川崎市の資料をみて、ROXの需要予測を知りました。需要予測というキーワードをみて当社の在庫管理につかえるのではないか?と感じ一瞬で興味を持ちました。今回は、コロナ禍ということもあったので、オンラインショップに置き換えて使ってみようということにしました。」

「モデル事業という短期間内でやれることとして、まずはビッグデータからの売れ筋把握と、既存のAI-Hawk-での予測をまずはやってみようということにしました。製造業において在庫管理はとても難しいものです。これはwithコロナ関わらず、根本的にずっと悩んできた問題ですので、それを解決するのに需要予測AIはぴったりだと感じています。今後もアレンジを加えていきたいと思っています。」

ゼロから開発すると、導入コストが非常に高額になるAIシステムですが、当社のAI-Hawk-は月10,780円からお手持ちのスマホやタブレットではじめられるアプリケーションです。まずは手軽に初めてみて、課題を見つけ、お客様のビジネスに合わせてカスタマイズしていくという進め方も可能です。

ファシリテーター:
「”新たなエンジン”(リカザイ様向けのカスタマイズAI)といったお話しもありましたが、今後の展開について教えてください。」

ROX 三浦:
「まずは、データ分析を更に深めていくことをしっかりやらせて頂きたいと思っています。色々なデータを各社でお持ちかと思いますが、製造業様向けの需要予測AIでいくと、いきなりピタっと合うシステムは難しいと思います。まずは手軽にできるところから始めてみて、課題をみつけ、我々のサービスとユーザー様のビジネスをどうマッチさせていくのか?その先にどういった付加価値をご提供できるのか?ユーザー様にお示しできるようにやっていきたいと思います。」

データの蓄積によって見えてくること

―――――今回のセミナーで、もう一つのモデル事業の事例として、「飲食店におけるテイクアウトシステム」についてもご紹介頂きました。その中で日替わりのメニューは手書きで店舗内で案内するのみだったが、テイクアウトシステムに掲載するためにメニューをデータ化していくというお話しをいただきました。

ROX 三浦:
「メニューのデータを溜めることで、例えば、若い世代にはこういうメニューがもっと売れるんじゃないか?ということを提案できるのでは?というお話しを頂きましたが、まさにおっしゃる通りだと思います。」
きちんとデータを溜めることによって、データの活用方法の可能性が見えてきます。データがあることでできることがどんどん広がっていきます。蓄積したデータを単に可視化するだけでも十分に効果があるものになりますし、そこに更にAIという技術を組み合わせることで、人間ではやれない領域までAI側でやることができます。可能性がどんどん広がっていくと思います。」

ファシリテーター:
「各社の経営理念などを伺っていると、前向きでコロナ禍に負けずに前に進んでいくという点が共通しているなというのが印象的でした。これから先、今回のモデル事業を横展開していくことに関して、自治体が中にいるからこその可能性について何かお感じになることはありますか?」

リカザイ 有賀様:
「コロナ禍がいつまで続くのかはわかりませんが、コロナが収束したとしても、このように自治体を通じて集まった仲間が、収束を機に散り散りバラバラになってしまうのだけは嫌だなと思っています。集まったメンバーが繋がったまま、違うステージに上がっていきたいなと思っています。」

*内容は2021年6月のセミナーの内容に基づいています。記事内容およびサービスは取材当時のものです。